過食症でも拒食症でもない、特定不能の摂食障害とは?
過食症や拒食症、どちらとも特定できない状態を指します。
摂食障害には主に過食症と拒食症がありますが、どちらかの診断基準を全て満たしていない場合は「特定不能の摂食障害」にと診断されます。こちらでは、「特定不能の摂食障害」とは何かと「過食症、拒食症」との違い、症状、特徴、診断基準などをご紹介します。
特定不能の摂食障害とは?
特定不能の摂食障害とは、摂食障害の主な症状である拒食症と過食症、いずれの診断基準も満たしていない症状のこと。摂食障害の30~60%が特定不能と言われています。
例えば、定期的に月経があること以外は拒食症の基準を全て満たしている、体重が正常値の範囲内にとどまっていること以外は拒食症の基準を満たしている、正常な体重の人が少量だけ食べただけで嘔吐を引き起こす、過食と嘔吐・下痢を繰り返す過食嘔吐行為が週2回未満、食べるけれどのみこまずにはき出す(チューイング)などの症状があります。
拒食症や過食症の傾向はあるものの、行動や症状に一貫性がないのが特徴です。
特定不能の摂食障害の症状
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月経があること以外は拒食症の症状がある
拒食症の症状があるものの、生理不順や無月経といった拒食症によくある症状が発生していない状態をさします。
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著しい体重減少があるものの体重が正常値
過食や拒食によって短期間で体重が急に増えたり減ったりしているものの、体重が正常値の範囲内にとどまっている状態は特定不能と診断されます。
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週2回未満の過食嘔吐症状
過食の後に嘔吐したり、下剤の乱用をするものの、その回数が週2回未満と比較的少ない状態を指します。
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チューイング
大量の食品を口に入れる過食症状があるものの、のみこまずに口の中でかんだ後、外にはき出すことを指します。
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むちゃ食いを繰り返すが嘔吐や下痢がない
食品を大量に食べる暴食行為を繰り返すものの、嘔吐や下痢を起こしていない状態を指します。
この場合、摂食障害とは別の症状が原因となっている可能性があります。
特定不能の摂食障害の判断基準
特定不能の摂食障害は、過食や拒食など、何らかの摂食障害を発生しているものの、過食症や拒食症と診断される条件を全て満たしていないため、過食症や拒食症の診断基準を全て満たしていないため、過食症や拒食症と診断されない状態です。
- 女性の場合、定期的に月経があること以外は、神経性無食欲症(拒食症)の基準をすべて満たしている。
- 著しい体重減少にも関わらず現在の体重が正常範囲内にあること以外は、神経性無食欲症(拒食症)の基準をすべて満たしている。
- むちゃ食いと不適切な代慣行為の頻度が週2回未満である、またはその持続期間が3ヵ月末満であるということ以外は、神経性大食症(過食症)の基準をすべて満たしている。
- 正常体重の人が、少量の食事をとった後に不適切な代慣行動を定期的に用いる。
(例:クッキーを2枚食べた後の白己誘発性嘔吐) - 大量の食事を噛んで吐き出すということを繰り返すが、呑み込むことはしない。(チューイング)
- むちゃ食い障害:むちゃ喰いを繰り返すが、神経性大食症(過食症)に特徴的な不適切な代償行動の定期的な使用はない。
アメリカ精神医学会のDSM-IVにより
「拒食症だが、生理が定期的にきている」「過食と嘔吐を繰り返すが回数が少ない」「過食はするが呑み込まない」などといった様々な症状があります。摂食障害は様々な形で現れるため、過食症や拒食症と断定できない場合も多く、そうした時は特定不能の摂食障害と診断されます。
むちゃ食いを繰り返すが嘔吐や下痢がない場合
嘔吐や下剤を使わないということは、体重や太ることに関して異常なほどのこだわりが比較的ない方だと考えられます。(もちろん、中にはやりたくてもできないという人もいるとは思いますが…)
けれども、食べてしまう。過食したいという衝動が抑えられない。という場合は、低血糖症が疑われるでしょう。
低血糖症は血糖値を抑えるホルモンの異常によって、食べ物を食べても血糖値が思うように上がらず、食べているのに脳が「栄養が足りていない」と誤判断をしてしまう状態です。
この状態だと、いくら心理的な改善を行ってもなかなか成果が見られません。精神的には痩せることへのこだわりが薄れてきたにも関わらず、体は栄養が足りないと訴える状態なので、体へアプローチする必要があります。
痩せたいという気持ちがきっかけで過食嘔吐を繰り返す場合は、対人療法や心理療法の検討を。心理的には落ち着いているけれど、過食衝動がどうしても抑えられないという場合は、栄養療法の検討をおすすめします。