MDクリニックダイエット・ホスピタルダイエットの危険性
海外輸入された医薬品を使った危険ダイエット
MDクリニックダイエットとは、日本では認められていない医薬成分を含んでいる海外(タイ)の医薬品をダイエット目的で個人輸入し、それを活用したダイエットのこと。
健康被害が多数報告されている、危険なダイエットの一つです。ネットの情報に惑わされて、危ない橋を渡らないよう、MDクリニックダイエットの危険性や種類についてまとめています。
MDクリニックダイエット・ホスピタルダイエットの危険性
MDクリニックダイエット・ホスピタルダイエットは医薬品を使ったダイエットのため、副作用や飲み合わせによっては健康に悪影響を及ぼします。通常、医薬品は医師に自分の体の状態を見てもらい、飲んでも問題ないかを検討した上で服用するものです。効果が大きい分強い副作用があったり、他の薬との飲み合わせで思いがけない症状を発症する可能性も…。
医薬品を使うということはそれだけ危険性の高いダイエットなのです。現在報告されている健康被害の中には死亡事例もあります。
さらに詳しく危険性を知るために、自治体に報告されているMDクリニックダイエットの健康被害を紹介します。
動悸・息切れ
シブトラミンやプロプラノロールを含有している「MDクリニックダイエット」を摂取し、動悸・息切れを発症。(埼玉県)
シブトラミン・甲状腺末を含有している「ホスピタルダイエット」を摂取し、動悸・発熱を発症。(横浜市)
意識障害
フロセミドやビサコジルを含有している医薬品を摂取し、意識障害を発症。製品名は不明です。(北九州市)
腹痛・嘔吐
クロルフェニラミンやビサコジルを含有している医薬品を摂取し、腹痛や嘔吐を発症。製品名は不明です。(岡山市)
目のけいれん
フロセミドやクロルフェニラミンを含有している「MDクリニックダイエット」を摂取し、目のけいれんを発症。(埼玉県)
手足の震え
シブトラミンやフルオキセチンを含有している「ホスピタルダイエット」を摂取し、手足の震えを発症。(千葉県)
死亡事例
シブトラミンや乾燥甲状腺、ジアゼパムを含有している医薬品を摂取し、急性心不全を発症して死亡。(神奈川県)
シブトラミンや甲状腺ホルモン、クロルフェニラミンを含有している「ホスピタルダイエット」を摂取し、偽性バーター症候群を発症。不整脈または呼吸器麻痺となり死亡(疑い)。(東京大学法医学教室)
MD・ホスピタルダイエットで見られる医薬成分
報告されている健康被害を見てみると、ジブトラミンやフロセミドなど同じ成分が何度も確認できます。 各成分にどのような特徴があるのか、また日本の法律ではどのように取り扱っているのかをまとめてみました。
シブトラミン
シブトラミンは中枢神経に作用し、セロトニンやノルアドレナリンといった精神安定・睡眠に関わる神経物質を取り込みにくくします。簡単に言うと、精神を不安定にすることで食欲減退につなげているということ。海外では肥満症の治療薬として認められていますが、副作用として循環器に影響が出る危険があるため、日本では認められていない成分です。
フロセミド
フロセミドは利尿作用を持つ成分で、体の無駄な水分を排出することで、体重減少につながると考えられます。日本でも医薬品に含まれていますが、海外の製品は日本の基準から大きく外れた含有量になっていたり、医薬品としての検査を通っているかどうか怪しかったりします。成分が日本で認められているとしても必ず安全とは言えません。
フルオキセチン
海外ではうつ病の薬として認められている成分です。中軽度のうつ病患者に効果的とされています。副作用として倦怠感や頭痛、めまいが確認されており、日本では承認されていない医薬成分です。
甲状腺末
甲状腺機能低下症に対する成分として日本でも認められている成分。ホルモンを作って分泌する甲状腺の機能を助けてくれますが、副作用として狭心症やうっ血性心不全を引きおこす恐れがあります。厚生労働省から甲状腺末が含まれている健康食品には勧告がでており、注意すべき成分といえるでしょう。
ビサコジル
便秘症の改善薬として日本でも認められているビサコジル。大腸のぜん動運動を促し、腸内環境の改善効果が期待できます。副作用には過敏症状や腹部不快感があげられています。
プロプラノロール
高血圧や狭心症の薬として認められている成分です。脈の乱れを整えるため、精神的な安定感を得られる効果あり。副作用にはめまい、ふらつき、手足の冷えが上げられています。
危険な薬の被害にあわないためには
個人輸入の製品は使用しないようにしましょう。基本的に、個人輸入したものを販売することは違法です。ダイエット目的の商品を購入するとしても公式の企業サイトを利用するようにしましょう。
「海外製品だと成分配合量が多いから効果が高い」といった思い込みがネット上で流れていますが、そのウワサには「同様にリスクも高くなる」という点が抜け落ちています。日本の医薬品基準は日本人の体にあわせて設定されているため、安全なラインとなっていますが、海外は別の基準で医薬品を作っています。
日本の基準に合わせて作られたものでも、人によっては副作用が大きく出ることもあるので、海外基準の薬となれば、余計大きく影響すると考えるべきでしょう。
医薬品と呼ばれるものは全て副作用がついてくる。この事実を忘れてはいけません。
もし被害にあったら…
もし誤ってMDクリニックダイエットの薬を服用してしまったり、服用している薬がMDクリニックダイエットと分かったら、すぐに服用を止めて医療機関を受診しましょう。
個人輸入した薬のなかには、紹介した成分のほかにも危険な成分が入っている可能性もあります。体の中で何かが起こってからでは遅いのです。出来るだけ早めに診察を受けてください。
診察を終えたら、最寄りの保健所へ連絡しましょう。保健所では薬の情報をまとめて提供しているため、被害が拡大しないように対処してくれます。