過食嘔吐は生活習慣(クセ)なのか?

過食嘔吐と生活習慣

過食嘔吐は生活習慣ではなく病気の一つです。

過食症で大量に食べ物を摂取した後、食べたものを「なかったこと」にするために意図的に吐いてしまう過食嘔吐。単に癖になっているだけだと考える人もいますが、ホントは国から難病と指定されている病気の一つです。単純に生活習慣を改善したとしても、再発の可能性が高くて完治が難しいと考えられています。

ここでは、過食嘔吐はどういう病気なのか、また、生活習慣で気を付けるべき点はなにかを紹介します。

過食嘔吐は生活習慣(クセ)ではない

過食症という病気の症状

過食嘔吐は、過食症の人が行なってしまう行動の1つです。本当は痩せたいのですが、ストレスやダイエットの反動で通常よりも多くの量を食べてしまう。しかし、そのままでは太るので、吐き出すことで過食をなかったことにしようとします。

この「痩せたい」という強すぎる気持ちを持っていることが、過食症の特徴です。過食嘔吐がクセになっているだけであれば、改善も早めにできるかもしれませんが、痩せたいという気持ちがどんな欲求よりも強い過食症の人は、普通に食べて飲み込んで消化を待つことが怖いというのが前提としてあります。

「痩せたい」という気持ちにアプローチしなくては、普通に食事をするのが難しいのです。

根本的な解決として、異常なまでの「痩せたい」という感情をどう処理すべきか、なぜ極端に痩せたいと思ってしまうのか心理的な原因を改善するのが近道といえます。

しっかりとした専門治療を

過食症の心理的な要因を知っていないと、周りからみればただの悪いクセと思われるかもしれませんが立派な病気です。

しかし、過食嘔吐を完治まで改善することは難しく、改善できたと思っても何かのきっかけでぶり返すことが往々にしてあります。なので、根本的な原因を見直して、そこから改善を図るのが完治につながるのです。

一人で根本的な原因を特定するのはかなり難しいので、専門的な病院にて治療を受けるようにしましょう。

「痩せたい」と思っていないけれど過食してしまう場合は?

低血糖症の可能性

異常なほどの「痩せたい」という気持ちは収まったけれど過食がやめられないという人がいます。これこそ、「クセになっているのかもしれない」「生活習慣として身に沁みついてしまっているのかもしれない」と思われがちですが、実は低血糖症という病気が疑われます。

低血糖症とは、その名の通り血糖値が低い状態になる症状。血液中のエネルギーが少なく、元気がでなかったり、やる気が起きなかったりという状態になります。

低血糖症の原因としては、食べ物を体を動かすエネルギーに変える動きが遅かったり、エネルギー変換する機能が弱くなっていたりという身体的な理由が考えられます。結果、脳が「エネルギーの材料となる食べ物が足りないから何か食べよう!」と体に命令を出し、過食に至ってしまうのです。

脳の命令によって食べてなんとか血糖値を正常に戻せたとしても、食べた後は罪悪感にさいなまれてしまい、最終的に嘔吐してしまうと過食嘔吐の流れをたどってしまいます。

この場合、生活習慣の前に体質の改善が必要です。なぜ血糖値が異常な状態になっているのか、原因を突き止めて専門的なアプローチによって改善が見込めます。

生活習慣の改善

生活習慣の改善で過食嘔吐を治療することは難しいと伝えましたが、「予防」することは可能です。

過食嘔吐を予防するためには飢餓状態になるのを避けて、過食になりやすい生活習慣の改善が必要となります。例えば、身体的な飢餓の予防には「1日3回の規則正しい食生活」そして、「炭水化物の十分な摂取」が大切です。また、過食しやすい環境を予防するためには次のような対策を心がけていくといいでしょう。

参考:『摂食障害―食べられない,あるいは,食べ過ぎてしまう病気』鈴木(堀田)眞理,2012

  • ・お腹が空いた状況で買い物に行かない
  • ・過食衝動を引き起こす食べ物を自宅に置かない
  • ・食事は一人ではなく誰かと食べるようにする
  • ・食前にコップ1、2杯の水を飲む
  • ・体重を毎日計らない
  • ・食事はよく噛むことを心がける
  • ・過食しやすい時間帯を作らないように、過食しやすい休日や夜は予定を入れるようにする

例えば、よく噛むという生活習慣は、満腹感を修復させ、過食を抑えるためにとても有効です。症例報告では、過食嘔吐が止まらなくなった16歳女性に対して、咀嚼法を導入。その結果、満腹感や味覚が回復し、過食嘔吐が改善したという事例もあります。

症例:16歳,女性.58cm,48kg
15歳の6月に無理に55kgから48kgまで体重を減らし,月経は停止.過食衝動の対策として嘔吐を始め,過食,嘔吐が止まらなくなった.大阪の高校を中座して家に帰り,近医受信,当院を紹介される.患者は,初診時に病態を説明され,過食嘔吐を止めようと努力したが嘔吐を止めても過食衝動は止まらず,肥満恐怖,うつ気分から逃れられなくなった.そこで第2週目から咀嚼方を導入し,SSRIも併用した.最初は投げやりになって咀嚼を完遂できない日もあったが,2週目に入ると実行できる日が増え,次第に満腹感や本来の味覚が蘇ってきて.食べ止められるようになった.

出典:『肥満症治療技法「咀嚼法」の導入が有効であった神経性大食症の1症例』 心身医学 心身医学 43(9), 629, 2003

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